物価が上がっても年金支給額は上がらない「マクロ経済人殺しスライド」が四月から始動


スクリーンショット 2015-02-23 15.05.46スクリーンショット 2015-02-23 15.37.34スクリーンショット 2015-02-23 15.37.06年金減額!マクロスライドがついに始動

将来世代の給付改善はできるのか

少子高齢化への対策として公的年金給付を自動的に削減する「マクロ経済スライド」が、2015年度に初めて発動されることが1月末に正式決定した。

2015年度の名目年金給付額は、2014年に消費者物価が上昇したため、16年ぶりに増加する。だが、本来なら、物価上昇を加味した名目手取り賃金上昇率2.3%を年金給付に反映させるところ、今回は増加幅が物価上昇分よりも抑制され、年金の価値は目減りする格好だ。

具体的にはマクロ経済スライドによる0.9%と、過去のデフレ(物価下落)期に年金給付を下げなかった特例水準の解消分0.5%を差し引き、0.9%の増加にとどめる。

4月分の給付から適用される新たな年金月額は、自営業者らが加入する国民年金で満額6万5008円(前年度比608円増)、厚生年金(夫婦2人の標準的な世帯)で22万1507円(同2441円増)。マクロ経済スライドによる調整分として、それぞれ約600円と約2000円が差し引かれている。調整率は被保険者の減少率と、平均余命の延びから算出される。

現在の高齢世代も給付削減から逃れられない

今回のマクロ経済スライドの初の実施で、新たに認識が広がりそうなのは、現在の高齢世代も給付削減から逃れられないという現実だ。

60歳より上の年金受給世代では「自分たちは逃げ切れるが、若い世代は年金が減ってかわいそう」といった話をする人が多い。だが、これは完全な勘違い。マクロ経済スライドは、すでに年金を受給している、「既裁定者」も対象になってくる。

しかも、新たに年金を受給する「新規裁定者」の年金額改定(スライド)には名目手取り賃金上昇率が使われるが、既裁定者には、通常の経済状況なら名目手取り賃金上昇率よりも低くなる、物価上昇率がスライド率に適用される。既裁定者のほうが新規裁定者よりも年金の目減りが速いのだ。結局のところ現在の高齢層から若年層まで、どの世代でも、85~90歳以上になれば、給付水準(所得代替率)はおおよそ同じレベルで底ばいとなることが、政府の年金財政検証結果でも示されている。

マクロ経済スライドは2004年の制度改正で導入されたもので、公的年金に対する発想の転換を国民に求めるパラダイムシフトそのものだ。世界最高の少子高齢化で年金財政が厳しくなり、負担増が止まらなくなることを避けるため、負担(収入)の上限を先に決めて、そのパイの中で給付を調整するスキームに切り替えた。

現在の給付削減が将来世代の給付改善につながる

具体的には、保険料率を18.3%(厚生年金の場合)に固定したうえで、約100年間の収入総額をまず決定。これと約100年間の給付総額が必ず一致するように、受給者1人当たりの給付水準を自動的に調整していく仕組みを導入した。

約100年間のパイが決まっている中で、マクロ経済スライドを早急に実施していけば、それによって余った給付部分を将来の高齢世代に回すことができる。図のように、現在の高齢世代の給付削減が、将来の高齢世代の給付底上げにつながるという、トレードオフの関係が成立しているのだ。

少子高齢化を受け、年金収支バランスの確保を最優先した現行制度では、「将来世代の給付底上げをいかに行うか」という問いこそが、年金改革案の柱となる。

16年には再び封印される可能性が高い

もっとも、マクロ経済スライドにも、まだ大きな課題が残されている。

「今年は初めて実施できるが、2016年には再びマクロ経済スライドをフルに発動できないかもしれない」。ある厚生労働省関係者はそう漏らす。

というのも、マクロ経済スライドは年金の名目額の減少を回避するので、デフレ下では実施しない法制度になっているからだ。2004年度から10年余り発動されなかったのは、そのためである。

2014年の物価上昇率は昨春の消費増税の影響が大きく、2.7%増を記録した。だが2014年12月時点で、消費増税の影響を除いた物価上昇率は0.5%まで低下。原油価格の下落もあり、今年は0.数%から、場合によっては、再びマイナスの領域に入ることが民間エコノミストの間では予想されている。

年金額改定の際は、これに2012~14年の実質賃金変動率が加味されるが、こちらもマイナス。1%程度のマクロ経済スライドの調整率を差し引くには、それを上回る名目手取り賃金上昇率が必要であり、現状では実現の余地は小さくなっている。

デフレ下でもマクロスライドを発動すべき

仮に今後、物価や賃金の適度な上昇が実現しないと、マクロ経済スライドは再び封印されることになり、先述のトレードオフの“逆転現象”が起きてしまう。つまり、現在の高齢世代がたくさん取りすぎ、将来の高齢世代の給付水準が一段と低下するのだ。

アベノミクスによりマイルドなインフレを目指す安倍晋三政権。だが、将来の物価動向が不確実な中で、どのような状況下でも将来世代の給付水準を犠牲にしないように、デフレ下でのマクロ経済スライドのフル発動を法制度化することが急務である。

税制の分野では、子や孫の子育てや教育、住宅取得などに向けた資金提供に対し、贈与税の非課税措置が拡大している。これは経済政策の一環として、世代間の私的な所得移転を促したもの。子や孫への高齢者の思いは強く、「近年の税制改革での大ヒット作」(財務省関係者)というほど、利用率が高い。

これと同様なことを公的年金制度で行うのがマクロ経済スライドである。給付削減には抵抗感が大きい現在の高齢世代だが、マクロ経済スライドの持つ意味を理解すれば、決して受け入れられないものではないはずだ。

「週刊東洋経済」2015年2月21日号<16日発売>「核心リポート04」を転載)


くだらない概念を取り込んで、計算を複雑化させ、高齢者の理解出来ないところに理論を持って行き、もっともらしい正当性を掲げて我々の生活を窮地に追い込みたいのです

物価上昇に伴い、20万で生活が出来る時代から30万50万100万とインフレへと変化していっても

その上昇率は繁栄されず年金支給額は上がってもスズメの涙程度。

これが「マクロ経済人殺しスライド」です

約100年間の収入総額をまず決定。これが全く意味が分かりません

100年先の事がなぜわかるのでしょうか?

逆にデフレになった場合は多く払いすぎてしまうから「マクロ経済スライド」を封印できるとか都合が良すぎます

確かな事は物価コントロール出来る金融財閥の手の内に
我々の生命は握られるているのだということです

 

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物価が上がっても年金支給額は上がらない「マクロ経済人殺しスライド」が四月から始動」への2件のフィードバック

  1. nishiizu

    更にマイナンバーで、未納は強制徴収。
    支給開始年齢は、生存率の低い年齢に上げ続ける。
    政治家、公務員は完全保障。
    しかし、公務員のみなさんは自分には関係ないと思わないほうがいいですよ。
    何が民営化するかわかりませんので。

  2. 山椒魚

    よく現役世代が何人で1人のお年寄りを支えるとか言いますよね。私は年金の制度はここが問題のような気がします。今の高齢者の年金を現役世代の保険料で支えるというのはおかしい。
     もらえる年金は、自分が現役のときに納めたものが原資であるべきで、世代間で負担をどうこうという制度であってはならない。
     だって、今、納めているのに、将来、もらえなくなるなんて制度として破綻しています。民間の保険会社ならそういうこともあるでしょうが、国の年金制度がそういうことでは困る。

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