中国人記者からの質問に対しプーチン大統領は、中国との関係強化はロシアの優先的外交方針であり、露中は多国間協議においても効果的に協力を行い、アクチュアルな国際問題の解決にあたって緊密に行動を緊密させている、と述べた。
またプーチン大統領は、両国関係の深化の上で画期的な出来事として、今後30年間にわたりロシアから中国へ毎年380億立方米のガスを供給する合意が締結されたことを挙げた。
また、国際市場における原油価格の下落の要因として、プーチン大統領は、経済成長の鈍化、一部諸国におけるエネルギー需要の減少を挙げた。ただし、原油価格の決定には政治的要因も働いている、との印象がある、とプーチン大統領。原油価格の下落に対しロシア政府が取っている対応としては、ロシア経済の構造および成長要因の多角化および、欧州市場への資源輸出への過度の依存からの脱却、その一環としての石油ガスのアジア太平洋地域諸国への輸出増大が挙げられた。
また、TPPのアジア太平洋地域情勢への影響に関しては、プーチン大統領は、ロシアは地域経済統合に関心を持っているが、しかし、地域統合の内部で内紛を起こすような試みには反対である、とした。併せて、TPPはご多分に漏れず、自分にとって都合のいい地域経済協力機構を構築しようとする米国の試みに過ぎない、との考えを示し、地域における重要なプレイヤーであるロシアや中国が参加していないのであれば、効果的な貿易経済協力関係を打ち立てることは望むべくもないだろう、とした。アジア太平洋地域における多極的経済協力システムが強固なものとなるためには、地域におけるすべての国の利害を考慮することが必要不可欠である、とプーチン大統領。
ロシア大統領府
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露中抜きのTPPはあり得ない

© Photo: AP/Carlos Barria
ロシアと中国の参加しないTPPには地域に効果的な貿易経済協力関係を打ち立てる力はない。APEC北京サミットを前に中国メディアの取材に答え、ロシアのプーチン大統領はそう述べた。プーチン大統領によれば、TPPもご多分に漏れず、自身の利益になるような経済協力機構を築こうとする、米国の試みに過ぎない。
TPPプロジェクトは2003年、ニュージーランド、シンガポール、チリのイニシアチブで始まった。その5年後、米国が身を乗り出し、TPP交渉の仕切り役を引き受ける。しかし未だに発足の日を見ず、交渉が続けられている。
プーチン大統領は、交渉の進捗度を評価することは困難だ、と語る。交渉は密室で行われており、参加各国の実業界や国民さえその内実を知らされていない。非参加国については言うに及ばず。この5年というもの、「進展あり」と発表されたかと思えば、次にはそれが覆される、ということが繰り返されてきた。プーチン大統領はそう振り返る。
いま、TPP交渉には、オーストラリア、ブルネイ、ベトナム、カナダ、マレーシア、メキシコ、ペルー、日本が加わっている。ところで、ロシアと中国は、参加の打診を受けていない。「それは実は米国が、このプロジェクトの政治的側面を重視しているからだ」と政治研究所のアンドレイ・ヴィノグラードフ所長は語る。
「プロジェクトはちょうど、中国が東アジアの覇権ならびに米国による世界経済支配の打破を目指し出した頃に始動した。これは偶然ではない。TPPは米国にとって、地域諸国を自陣に結集するための道具なのである。客観的に見て、東アジアの中心は、今や端的に中国である。その中国をある程度孤立させ、中国を中心とした経済統合を阻害することが米国の狙いである」
ところで、TPP交渉参加国は、いずれの国も、対中貿易が対米貿易を上回っている。米国は「我々か、それとも中国か」の二者択一を迫るが、これは不都合な問なのである。米国と他の交渉参加国の食い違いは他の点にも見い出せる。たとえば、薬品の特許の期限。知的財産権の保護強化策。布製品の輸出。自動車や農産品の貿易。
交渉参加国は口を揃えて、「米国の自由化要求は厳しすぎる」「各国の利益を考慮していない」と指摘する。中国が、たとえ米国から招待を受けたとしても、交渉に応じるとは考えにくいゆえんである。
秘密情報サイト「ウィキリークス」は米国が自己に有利な条件を設定する目的で交渉参加国に対し圧力を用いていることを示す文書を公開している。今のところは日本でさえ圧力に持ちこたえているが、「米国はこの戦術を今後も続けるだろう」と極東研究所のアンドレイ・オストロフスキイ副所長は語る。
「一部の国は屈するだろうが、日本を含む一部の国は屈しないだろう。経済規模の大きい大国間には重大な利害の不一致がある。また、中国との貿易経済協力関係を重視する一部の国が、TPP交渉から脱退することもあるだろう。TPPも経済的魅力を失ったら終わりである」
中国メディアによるインタビューでプーチン大統領は、「ロシアは地域の統合深化に関心を持っている」と語った。ただし、地域統合は透明なものでなければならず、交渉の各当事者間の情報交換が保障されねばならない。そして自由貿易機構そのものも、世界の貿易を細分化せず、むしろ多極的貿易にさらに一つが加わるという形にならなければならない。各国の要望を考慮に入れた、オープンかつ平等な機構とならねばならない。プーチン大統領はこう語った。
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